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2017年5月20日(土) 『株式会社 オーディオテクニカ本社』見学会のご報告

2017.08.21up

5月20日(土)、東京都町田市にて『株式会社 オーディオテクニカ本社』見学会が行われました。早稲田大学芸術学校校長である赤坂喜顕先生が設計された建築ということで学生の参加も多く(計83名のうち28名が学生)、早稲田建築に関わる幅広い年代層が大勢集まる見学会となりました。

この建物は、2016年1月に竣工したオーディオテクニカの新たな本社ビルです。1965年に新宿からこの地(町田市成瀬)に本社・工場を新築・移転して以来、増改築を重ねて使い続けられた建物が一新されました。設計は早稲田大学の赤坂喜顕研究室と竹中工務店の産学連携によるものです。見学会は、建物の外観を一通り見回った後に設計に関するレクチャーを受け、その後内部の見学という流れで行われました。設計者である赤坂先生、竹中工務店の方々から丁寧な解説をいただきながらの見学で、空間体験と同時に設計時に込められた思いを知ることのできる充実した時間となりました。

まず建物を訪れて、眼前に迫り来るような力強く特徴的なフォルムが強く印象に残りました。外観の見学では、建物を構成する4面がすべて道路に囲まれており、それら4つの立面はそれぞれ異なる様相を呈していることを確認しました。その後内部を見学することで、この建築の特徴でもある「立面が内部空間を表している」ことを体感できました。
また、もう一つの特徴として、敷地全体がなだらかな傾斜地にあることが挙げられます。このため、建物は基準階を持たず、南北でフロアレベルの異なるゾーン(南側は事務管理ゾーン、北側は研究開発ゾーン)に分割され、これらが中央のスロープと階段でつながるスキップフロア構造となっています。これにより機能を分節しつつも相互の関係性を持たせるともに、断面形状にも変化をもたらしています。
このように、地形というポテンシャルをプログラム・断面へと反映させ、さらに内部空間を透過させたかのように立面へと昇華させるという設計の一連の流れが見事であると感じました。また、地形の差異はもちろん、住宅街と工場のスケール感の違いまでを造形に落とし込んでいることや、手すりやドアなど建物の細部にもこだわりを持ち丁寧に設計されていることに対しても設計者としての熱い姿勢を感じ、感銘を受けました。

見学会を通し、意匠設計者の造形に対する強い意志と実現力を感じ取ることができました。私は将来構造設計に携わる予定ですが、構造設計者としての職能に囚われず、意匠設計者をはじめ様々な人々の思いを汲み取った設計をしたいと改めて感じました。
最後に、貴重なお話をしてくださった赤坂喜顕先生、竹中工務店の皆様、貴重な場を提供してくださったオーディオテクニカの皆様に心よりお礼申し上げます。

(稲門建築会事業委員会学生理事 土岡真大)