田邉 新一教授 紫綬褒章受章
    田辺新一教授が秋の褒章で紫綬褒章を受章されました。以下に早稲田大学ホームページに掲載された田辺先生の受章コメントを転載いたします。
田辺先生おめでとうございます。
このたび建築環境設備学の研究により受賞の栄誉を賜りました。環境設備分野は建築の長い歴史の中では新しい領域であり、近代的な空気調和設備システムの発明は1902年です。酷暑における冷房利用は今や当たり前となっていますが、我が国で本格的に冷暖房が普及したのは1970年代以降であり、東京オリンピック代々木体育館にも1964年には冷房は導入されていませんでした。冷暖房・換気を行うには、在室者にとって快適かつ健康的な環境条件を科学的に把握する必要があります。その一方で、空気調和設備によるエネルギー消費は建築物全体の消費の過半を占め、省エネルギーと快適性の両立を考える評価法の確立が強く求められてきました。
これまで、温熱環境の快適性評価法、シックハウス問題の解決、新型コロナウイルス感染症における換気の重要性の解明、住宅・建築物の脱炭素化に関する研究と国際的発信に取り組んでまいりました。研究を始めた当初はこのような分野では将来食べていけないぞと周囲には言われましたが、恩師の勧めで留学したデンマークでの経験が人生を大きく変えました。また、知り合った海外の研究者たちとの交流は40年近く続いており、今回の受章はそうした縁の積み重ねの賜物だと思っています。思いがけない栄誉を頂けたことに心から感謝するとともに、家族をはじめ支えてくださった皆様に深く御礼申し上げます。
春秋褒章について
科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方を対象とする紫綬褒章のほか、紅綬褒章、緑綬褒章、黄綬褒章、藍綬褒章があります。
以上早稲田大学ホームページより転載
