稲門建築会は、早稲田の建築関係学科の卒業生、教員、学生および協賛会員による同窓会です。
1909年に早稲田大学建築学科予科が創設され、学生と卒業生からなる同窓会として早苗会を創立しました。その後、早稲田大学工手学校を母体とする稲友会、早稲田高等工学校を母体とする稲工会、早稲田大学専門部工科を母体とする甍会が組織されたのです(詳細は「歴史」を参照)。
戦後の混乱の中で内藤多仲は「同じ稲門を出ながら互いの消息も分からず、自然相互の親睦も、協力も、利便もこれを図る道はなかった」ことを憂え、1951年に早苗会、稲友会、稲工会、甍会の4部会を結集して稲門建築会を発足させました。その後、現在の早稲田大学芸術学校の前身である専門学校が開設し、その同窓会として稲芽会が組織され、稲門建築会に加わりました。
現在の稲門建築会は早苗会、稲友会、稲工会、甍会、稲芽会の5部会で構成されていますが、新たな卒業生を出しているのは早稲田大学建築学科・同大学院(早苗会)と早稲田大学芸術学校(稲芽会)です。会員数は総計で約28,000名(故人含む)ですが、通信可能な会員は約12,000名です。建設業界のみならず、様々な分野で活躍する卒業生と学生が、早稲田の名の元に一致団結した、類いまれな組織でもあります。本会では、これらのネットワークを生かした卒業生同士の情報交換、異業種間交流、卒業生と学生の交流などを目的とした活発な活動を続けています。

第25代会長(2025年度~)
古谷誠章(苗1978・院1980)
早稲田大学名誉教授・栄誉フェロー
-稲門建築会会長就任にあたって-
思い返せば1974年に建築学科に入学し、以来50年余にわたって稲門建築会の会員でありますが、私自身が会の運営にひときわ深く関わったのが、1983年に学科の助手となり同時に会報「早稲田建築」の編集委員の一員に加わった時からでした。今でも忘れもしないのが、その初年に村野藤吾先生の講義の誌上収録を担当して、文字起こしした原稿を先生にお送りしたところ、先生の細かな文字でびっしりと赤が入れられて返送されてきて、すでに並行して版下製作に入っていたもので結局ページ数が足らず、やむをえず一枚紙の両面を差し込んだことです。同時にまた1909年の建築学科予科の開設に始まる、早稲田建築の伝統の一端に触れた想いがしたことを思い出します。 31年間の早稲田大学での教員生活を終えた今、こうして再び稲門建築会と深いご縁をいただいたことを光栄に感ずるとともに、これからの会の運営に関しては、まずは以下の3点を自らの使命と考え取り組んで参りたいと思いますので、是非とも多くの皆様の積極的なご協力・ご参加の程、どうぞよろしくお願いします。 一つ目は、稲門建築会と建築学科教室および芸術学校の一層の連携を図り、ますますの交流の機会をつくりたいと思います。すでにある学生に対する「OBによる仕事紹介」などの他、時宜を得たテーマについての会員と教員による対談や研究共同なども企画していきたいと考えます。 次に建築の芸術分野と工学分野を横断する協働を図りたいと思います。会員の関わった現場の見学会などを通して、学生とOBが触れ合うだけでなく、歴史意匠から工学までの様々な分野の協働があってこそ初めて実現する、建築の醍醐味を体験する機会を設けたいと思います。 最後に、全国各地の会員同士の連携を促したいと思います。地方出身の学生は少なくなりつつありますが、それでも卒業後の活躍の場は日本全国にあり、さらに国外にも広がっています。そうした中で同窓会としての本会の使命は、なんといっても各地の会員相互の繋がりを緊密にし、そのネットワークを通じた交流、連携、協働の機会を創出し続けることだと考えます。オンライン環境も成熟しつつある今、オン・オフを使い分けて、支部や地域の隔たりを超えた盛んな交流を図りましょう。―稲門建築会 歴代会長―
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早稲田大学、理工学部、稲門建築会の歴史です。大学の資料は理工学部発行「早大理工80年をふりかえる」より。
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1882 |
(明治15) | 10. |
東京専門学校創設(大隈英麿校長) |
1902 | (明治35) | 09. | 早稲田大学と改称(大学部と専門部を新設) |
1907 | (明治40) | 02. 04. |
総長・学長制採用(大隈重信総長・高田早苗学長就任) 創立25周年記念式典(校歌制定・大隈銅像序幕式) |
1908 | (明治41) | 02. 04. |
理工科新設の決定 機械・電気学科予科開始 |
1909 | (明治42) | 04. 09. |
建築学科予科開始 稲門建築会創立/1993年(平成5)改定の会則にて建築学科予科開始を以て創立とした 大学部に理工科を増設 |
1910 | (明治43) | 09. | 建築学科本科開始 |
1911 | (明治44) | 03. 12. |
早稲田工手学校創立 各学科に教務主任設置(建築学科:佐藤功一) |
1912 | (明治45) | 02. | 各学科に学科顧問設置(建築学科:辰野金吾) |
1920 | (大正 9) | 04. | 新大学令による大学昇格により、理工科を理工学部と 改称、大学院新設 |
1922 | (大正11) | 01. | 大隈重信逝去 |
1926 | (大正15) | 06. | 早稲田理工学会発会式挙行 |
1927 | (昭和 2) | 10. | 大隈記念大講堂落成 |
1928 | (昭和 3) | 04. 10. |
早稲田高等工学校開校 理工学部創立20周年記念祭開催 |
1935 | (昭和10) | 04. | 各学科に工業経営分科開設 |
1939 | (昭和14) | 04. 04. 10. |
専門部工科開設(内藤多仲科長就任) 初めて学部に女子入学(4名) 内藤多仲、高等工学校校長辞任、吉田享二校長就任 |
1940 | (昭和15) | 05. | 理工学部研究所開設 |
1943 | (昭和18) | 04. | 理工学部研究所、理工学研究所と改称 |
1944 | (昭和19) | 02. 04. |
内藤多仲理工学部長就任 高等工学校、工業専門学校に昇格 |
1945 | (昭和20) | 05. | 空襲により理工学研究所、専門部工科木造校舎、 高等工学校木造校舎全焼、理工学部一部焼失 |
1946 | (昭和21) | 04. 09 . |
工手学校昇格、工業学校と改称 学部・学科・所長等選挙(内藤多仲理工学研究所長、 吉田享二高等工学校長就任) |
1948 | (昭和23) | 04. 11. |
早稲田工業学校を新制工業高等学校に改組 専門部工科解散式挙行 |
1949 | (昭和24) | 04. | 新制早稲田大学第一・第二理工学部開設 |
1951 | (昭和26) | 04. 05. 10. 10. 11.19 11.26 |
新制大学院工学研究科修士課程開設 早稲田工業高等学校創立40周年記念祝典挙行 早稲田大学専門部工科・早稲田大学高等工学校廃校 大学院工学研究科校舎竣工 稲門建築会設立 広島(現・中国)支部設立 |
1952 | (昭和27) | 02.20 03.30 04.16 春頃 05 08.20 11.10 |
東北(仙台)支部設立 名古屋支部設立 稲門建築会会則制定 九州支部設立 理工学研究所、新宿区喜久井町に移転、復興完了 稲門建築会会報『稲門建築会会誌』創刊 関西(現・近畿)支部設立 |
1953 | (昭和28) | 04. 05.23 |
大学院工学研究科、博士課程開設 北海道支部設立 |
1954 | (昭和29) | 02. |
大学院工学研究科 建築計画研究室学生の共同作品、 ブラジル、サンパウロ国際建築展に1位入賞 |
1955 | (昭和30) | 05.21 |
稲門建築会賞設置 北陸支部設立 |
1957 | (昭和32) | 01. 11. |
『稲門建築年誌』(内藤多仲命名)創刊 早稲田大学創立75周年記念式典。記念会堂竣工 内藤博士記念耐震構造研究館竣工 小野記念講堂・大隈記念室竣工 |
1959 | (昭和34) | 05.14 | 稲門建築会会則改正、会員に在学生を加える |
1961 | (昭和36) | 04. 07. |
大学院工学研究科を理工学研究科と改称 第二理工学部学生募集停止 教員組合・教職員組合結成 |
1962 | (昭和37) | 04. 10. |
文学部校舎(戸山町)竣工 早苗会の新聞『早苗』を『稲門建築』と改称、 広い範囲のOBに配布 早稲田大学創立80周年 理工学部新校舎起工式 |
1963 | (昭和38) | 08.10 09.30 |
静岡支部設立 理工学部新校舎第一期工事(52.53.54.56.57号館)完成 |
1964 | (昭和39) | 04. | 産業技術専修学校開校 |
1965 | (昭和40) | 03. | 理工学部新校舎第二期工事(58.59.60.61号館)完成 |
1966 | (昭和41) | 01. | 学費値上げ・第二学生会館管理運営問題をめぐって 全学ストに入る(6月解除) |
1967 | (昭和42) | 03. 04. |
理工学部新校舎第三期工事(51号館)完成 全学科の移転完了 |
1968 | (昭和43) | 04. | 第二理工学部廃止 第一理工学部を理工学部に名称変更 工業高等学校廃止 |
1969 | (昭和44) | 04. 06.30 07.08 10.24 |
第2次大学紛争(本部・第二学生会館占拠される) 学生大会、無期限スト議決 吉阪隆正 理工学部長就任 学生大会、スト解除を議決 |
1970 | (昭和45) | 01.19 | 稲門建築会機関誌『稲門建築年誌』、『早稲田建築』として リニューアル創刊 |
1972 | (昭和47) | 10. | 早稲田大学創立90周年記念式典 |
1974 | (昭和49) | 06.14 | 稲門建築会会則制定(旧会則廃止) |
1977 | (昭和52) | 11. | 会誌を『早稲田建築ニュース』と改称、装丁一新 |
1978 | (昭和53) | 04. | 産業技術専修学校を専門学校に改組 |
1979 | (昭和54) | 03. | 65号館新築工事完成 |
1982 | (昭和57) | 04. 10. |
理工学部推薦入学制度開始 早稲田大学創立100周年記念式典 |
1983 | (昭和58) | 07. | 特別選考制度により社会人の大学院生募集開始 |
1985 | (昭和60) | 07. | 校友会設立100周年記念大会 |
1988 | (昭和63) | 03. 04. 05. 10. |
大隈重信生誕150年記念・竹下登内閣総理大臣就任祝賀会 理工学部新棟竣工 韓国稲門建築会創立 理工学部創立80周年記念祝賀会 大隈重信生誕150年記念式典 |
1991 | (平成 3) | 11. | 稲門建築会40周年・早苗会80周年記念 「早稲田建築」特別記念号発行 |
1993 | (平成 5) | 03.30 04.01 08.28 |
四国支部設立 稲門建築会会則制定(旧会則廃止) 台湾稲門建築会創立 |
1995 | (平成 7) | 10.21 | 【早稲田建築合同クラス会】第一回開催 |
1997 | (平成 9) | 11.20 | 【特別功労賞】制定 |
1999 | (平成11) | 04.01 | 信越支部設立 |
2001 | (平成13) | 01. 04. 11. |
稲門建築会ホームページ開設 早稲田大学専門学校が早稲田大学芸術学校と改称 稲門建築会設立50周年 |
2002 | (平成14) | 05. 09. |
稲門建築会会則改正 メルマガNo.1を発行 |
2004 | (平成16) | 11.11 12.11 |
新名簿管理システム運用開始 熱湯夜話第1回 【就職ガイダンス】を【OBによる仕事紹介】として継続 |
2006 | (平成18) | 03. | イヤーブック「WA2006」として稲門建築会機関誌を再構成 |
2009 | (平成21) | 05. | 建築学科創設100周年記念事業推進委員会発足 |
2010 | (平成22) | 09. 11. |
建築学科創設100周年 100周年記念事業 早稲田建築アーカイブス No.1村野藤吾 WEBup |
2011 | (平成23) | 03. 06.1 11. |
100周年記念事業 稲門建築会機関誌「WA」2011特別号 発行 建築学科創設100周年を祝う会 稲門建築会設立60周年 |
2012 | (平成24) | 05. 10. |
稲門建築会ホームページリニューアル 早稲田建築ニュース:年2回の発行へ |
2013 | (平成25) | 05. | 稲門建築会会則改正 |
2014 | (平成26) | 04. | 稲門建築会グループfacebook開設 |
2015 | (平成27) | 10. | 早稲田建築ニュース100号発行 |
2019 | (平成31) | 01.28 | 名古屋支部を中部支部に改称 |